近況と、崖の上のポニョお母さんあるある。

最近脳みそがやっとぎしぎし回り始めたのか、心身がようやく余裕をもてたのか、はたまた何か書きたい欲が限界を迎えたのか、寝ている娘の隣でそうだ!ブログかこ!ってなったので書いていく。

最近二人目の子供を産みました。
正直言って、一人目の出産をまじで綺麗さっぱり忘れていました。
いや、つわりとかは恐らく子供によって毎回違うと覚悟していたので、結果的になんとかなったんですよ。
問題は陣痛→出産のところだよ。
なぜ忘れていたんだ???あんな人生で一番痛い経験を??

よく脳内で幸せホルモンがどぱどぱ出るから出産の激痛は忘れるようにできている、と聞くんですが、あれは本当にそうなのかもしれない。

はっきり言って舐めプしていたんですよ。
「言うて一回経験してるから出すのは楽勝よ、ぺっぺけぺー」みたいな気分でした。
だって記憶にないからね。陣痛室の旦那がFGOしていたことは覚えてるけどどんくらい痛いかとかどんくらいの痛みで子宮口が開いてる判定してるかとか覚えてないからね。出せばこの腹の重みから解放されると思ってて、そっちに気をとられていたんです。
いつもそう。目先の楽さにそこまでの過程を忘れる。わたしのばか!すっとこどっこい!

陣痛がきたときは余裕でした。
あーきたきた、こんな痛みね〜はいはいはいはい。
友達に「病院いくわー」ってLINEする余裕すらあった。
完全に舐めてる。
本陣痛がきたときにはもうスマホとかベッド脇に転がってるただの板だよ。充電器の紐がコンセントからだらっと垂れてるのが無性に腹立たしい。
こんなに痛いのになんでこのスマホはのうのうと自分だけケツから電気溜めてんの?
ベッド枠を掴んで絶叫しながらひたすら充電器の紐を睨んでいた。
スマホは私の出産が終わったら旦那へ連絡するために充電待機してくれてるだけで無罪なのだが、その時は充電器のコードが垂れてるのが有罪だった。

忘れていた。この痛みを。
いきもうとおもってもいきんじゃいけないから「あーー」とか「うううーー」とか叫んで痛みを逃す。ベッド枠をガタガタ掴みながら「いつ出てくんの?!?💢」ってキレてた。忘れていたから痛いことにちっとも慣れない。なんなら一人目の方が痛みを想像して覚悟してただけにしっかり耐えれてた。
舐めプしてたからもうボコボコよ。
「馬鹿な…ッ?!こんなはずではッ!」って呻きながら殴られてる中ボスみたいな気持ち。イキって出産に突入して「まってまってまって心の準備できてない忘れてた!!わすれてました!!ごめんなさい!!」って叫んでる哀れな中ボス。事前にちゃんとストレッチしとけ。舐めてるからだぞ。

あまりの痛みにそのうちいきみ方も忘れて、分娩台ではどこに力をいれて良いかわからず「忘れました!!!」と助産師さんにべそべそ泣いた。
「大丈夫!!また教えるから!!」って言ってくれた。神かよ。白衣の天使でした。
盛り上がってくる痛み、へたくそないきみ。力の入らない両腕がぶるぶる震えて、やばい、もう産むの諦めたいと思った。痛いのがふーっと壁一枚挟んだ向こう側のように感じてきた。無理ですもう無理です。産めません、諦めます。いきめません。痛いのが来ると頭のなかで像が並んでラッパ吹きながら太鼓叩いてダンスしてる。意味わかんない痛い。大体なんで旦那が側にいないんだよこんなに頑張ってんのにちゃんとみてろよ。コロナだからか。じゃあしかたないな。いやでもこんな痛いの無理だよなんでわすれてたの無理です。充電器くそむかつく〜〜股になんか挟まってるよ〜〜〜なにこれ………あ!赤ちゃんじゃない?!これ赤ん坊……では?!産まなきゃ終わらないんじゃ……ない……?もしかして……これ出さなきゃ……永遠に続くんじゃない……??

うおお〜〜〜〜!!!ずっとこんなのやだーー!!!


で、気合いで産みました。
安産でした。よかったです。
産んでから家帰ったりなんやかんやあったらすでにあの痛みを忘れていました。
あのときの気持ちは覚えてるのにどんだけ痛かったのかは忘れました。
こわ……………記憶を消去されてる………
いま私の都合のよい脳みそは毎日どうすれば旦那に隠れて生クリームを食べられるかを考えている。こわ……

…………

こわ………


ここまでが前置きです。
読んでる奇特な人、ついてこれてるか?!

ところで話は全然変わりますが、今日は上の子が「ごはん食べながらポニョ見たい」と言って、崖の上のポニョを見ていたんです。
金曜ロードショーで定期的に流してくれるジブリ良いですよね。録画万歳。娘は私に似て好きな作品を何回でも見たがるので、ポニョも確実に上映回数二桁はいってる。
つまり何度も見てるんですが、脳みそが産後ようやくまわりはじめたのか、今日はぼーっと眺めながらリサの行動に「わかる」botになっていました。
お母さんあるある満載でしたね!
いつも見てたのに今日は「あっ…あっ…」と心のカオナシが震えながらリサの行動を追いかけていたんです。

リサは主人公宗介のお母さん。
船乗りの夫を持ち、普段は働きながら5歳の宗介の子育てをひとりでやってのける肝っ玉お母さんです。

冒頭、宗介がポニョを拾っているシーンでリサが遠くから「宗介ー!もういくよー!」と声をかけます。
すぐに引っ込んでごそごそし、次は車から宗介を「宗介ー!遅刻しちゃうよー!」と言います。

わッッかッッるッッ!!

子供って一回で車乗らないよねー?!?
そして車にぜーんぶ準備物を詰め込んであとは宗介ひとりだけ乗せれば出せる状態にしてるのもめちゃめちゃリアル。わかるよ〜〜〜!
わーわーいうより子供以外を完了させてあと子供乗せちゃえば"勝ち"なわけですよ。
そんでこの「もういくよー!」はカウントダウンの始まりです。このあと支度して家をでないとやばいぞ、という声かけ。
「遅刻しちゃうよー!」は保育園じゃなくてリサが遅刻するのを心配してるわけです。言い方リアルだな〜。早くして〜を滲ませて精一杯優しい声かけを理性でしている。リサさん偉すぎ〜〜!!
そしてこの「遅刻しちゃうよー!」は最後通牒。ここを過ぎても宗介が降りてこなかったら恐らくリサは駆け登って宗介を抱えて無理矢理車に乗せてたね。なぜなら私は遅刻しちゃうよ、が出たら五秒後には子供を抱えているからだ。ギリギリのときにでる「遅刻しちゃうよ」なのだ。リサさん偉すぎ〜〜〜!(2回目


宗介はジブリの男の子のなかでも生活力◎、性格◎、将来性◎、聡明さ◎のスペシャルボーイなので、ちゃんとリサの言うこと聞いて車に乗ります。
それを横目で確認しながら、向こうからフジモトという名のどう見ても不審者が近づいてくるといつでも車に逃げ込めるようにしながらリサが注意をします。
「どなたか存じませんが、ここで除草剤を巻かないでください!」
賢いお母さんですね〜〜!
大体見て見ぬふりをするか、さっと車に乗り込むお母さんが多いですけど、リサさんは賢いし肝が座ってるし、家の回りに不審者がいたら宗介を守れるのはリサだけなので威嚇が必要だと思ったんでしょうね。
でも直接攻撃するとやばい人だったときトラブルになるので、「見てるぞ!」という気持ちを込めて注意したわけです。
かっこよ……みならいてぇな…。

車を出しながらぼやくリサの台詞「なにあのひと!……なーんて言ったら駄目よ宗介。人は見かけに寄らないんだから」もめちゃめちゃわかりみが深い。
忙しい朝とか車だと特に「あー失敗した!」とか「ク◯!」な気持ちがつい口から出がちです。遅刻しそうなら尚更。でも「あ!!子供がまねする!」という機能も同時に発動する。しかしもう言ってしまったものは戻らないのでとりあえず「なーんてね」ってごまかす。
わかるわ〜〜〜〜〜

宮崎駿ってお母さんの経験あるんですか?

リアルすぎて首があかべこになりました。
宗介が施設のおばあさんを泣かせたときに探し回るのは「も〜」ってかんじなのに、海で見つけたときの焦り方とかね。
とりあえず入って抱えて撤収!みたいな素早さを見ると流石のリサさんでもヒヤッとしただろうな〜って共感しちゃいます。
海に慣れてる子供とはいえ、泣きじゃくりながら深いところに進んでいくのを見たら血の気が引きますよ。

ポニョをとられて泣き続けた宗介と帰りに買い物にいき、大量の買い物袋を抱えながらのしのし歩くリサさん。今夜は旦那が帰ってくるから張り切ってかいすぎたのもきっとあると思いますわ。いつものおそらく1.3倍は買ったんじゃないかな。
目蓋の腫れた宗介にはソフトクリームなのも「わかる」ポイント高いの…。

多分ポニョがいなくなってからずーっと機嫌がぐずぐずだったんでしょうね…。
でも買い出しは今日いかなきゃいけないし、帰ったらご飯の支度も頑張りたい。旦那が帰ってきて人手が増える!単純な嬉しさとやれやれって嬉しさがあるでしょうから。大人と美味しいもの気兼ねなく食べたいよね。
やりたいタスクが大量に残っているのに宗介がぐずっているのは問題です。スペシャルボーイの宗介くんがこんなにぐずるのも珍しいのかもしれません。

そこであのでっかいソフトクリームです。

とりあえず腹を満たし甘いものを抱えておけば家につくまでに気分が少しは落ち着くでしょう、という算段。
両手が塞がってるから「自分が荷物持つ!」と主張することもないし。
宗介の好物なんですかね。多分普段は駄目っていわれてるけどあまりにもぐずぐずさんなので特別って意味もあったのかな。

かっとばす車でリサは言います。
「宗介さ、運命ってのがあるんだよ。ポニョは宗介とあそこで別れる運命だったんだよ。そりゃあの除草剤男は怪しいけどさ」

わかるポイント5億兆点!!!

子供がどうしようもないことに落ち込んだときにかける言葉としてこういう言い回し凄いわかる!!!!!!
「そういうこともあるんだよ」です。
も〜〜〜〜〜めっっっちゃくちゃわかる。
最近うちの娘は自分で敷きたいマットレスを「重たいから」と旦那に先に敷かれてしまい号泣しずっと「パパが敷いちゃった!!!!」と泣いていたんですがもーーなんていうんですか?「よかれとおもってやったんだよ」は通用しないんですね。
いやうちの場合だけかもしれんのですが。
終わってしまったことをずっと納得できなくて悲しくて悲しくてたまらんのです。うちの場合は悔しいという気持ちもあったでしょうし、宗介の場合は「勝手に変なおじさんにポニョをとられた」という理不尽さもあるでしょう。

でももう終わったことなので…!!

親はど〜〜〜もしてあげられんのですよね。
マットレスならまた最初から敷かせてあげるという手も通用するかもしれませんが(うちの娘はすでに敷かれた事実が気にくわないので敷き直すことは論外でした。無念。)ポニョをとられたのは親にはもうどうにもできないんですよ。終わったことなので……誠に残念ながら…。

なので「世の中そういうこともあるんだよ」と慰めることしかできんのですわ。

リサは五歳にわかるよう、そして納得しやすいよう運命という言葉を使ってて、私も使お…って思いました。リサさんありがとう。持って帰りたいと言い出す将来の虫等の別れに使います。

ちなみにですけど、リサの運転する車の窓の風景。
朝は色がびゅんびゅん流れるけど帰りは風景が流れるのもわかるポイントです。
遅刻ギリギリだから朝はめっちゃアクセル踏んでるんですね。
この間、娘がバックミラーをいじって時間がないので気づかずそのまま発進したんです。
変な角度のバックミラーが道路脇の植木とか街路樹を映していくのですが、色がびゅんびゅん飛んでました。
ポニョで見たやつ〜!って思いながらスピードを落とすと景色がちゃんと見えました。視覚って意外とあやふやなんですねえ。


家に帰ったリサと宗介に旦那さんから電話がかかってきます。今夜は帰れなくなりました、と。
ハァー?!とキレたリサはほうれん草を水揚げしてだんっとカウンターにおくと「宗介!今日はそとに食べに行こう!」と言います。
わかるーーーーーーーーーーー(沁々)
帰ってくる旦那を楽しみにしてそのために作ってた訳です。久しぶりに会うし〜♪人手が増えるし〜♪お酒あけちゃお〜♪あれつくってこれつくって〜♪とか考えてたわけです。
宗介と二人きりの時にゆっくり飲んだり食べたりできないからね。
楽しみにしてたんですよほんとに。会えるのも楽しみにしてたし、宗介のお風呂頼んじゃおっかな〜とか絶対期待してた。リサさん!わかるよ!
それが帰ってこないならマジでご飯つくる意味無〜!!!ってなるもんですよ。宗介と二人きりなら別に凝った料理を作る必要無いんだから。ご飯と味噌汁とよく食べるおかずとかでいいのに。ほうれん草茹でちゃったよこんなにたくさん!どーすんのよ!

そりゃ外に食べにいきたくなるよ。
食べないもの作りたくないもん。

で、宗介はお父さんとの信号の約束もあるし「僕家で食べたい」っていうわけです。
むーっとしながら腹立ちが収まらないリサはうろうろしてビールを開けます。わかる〜〜。飲まなきゃやってらんねーわ!ってことですね。
この大量のほうれん草をどうにかして宗介と自分だけが食べるものに変更しなきゃならない。やる気が削がれた上に献立が変わるわけで、こんなんビールでも飲まなきゃたまんないっすわー!!!ってことです。
ビールもちょっと高いの買ったんだろうな。
わかるよ………
多分Twitterとかで愚痴ったらRT30くらいついて「うわー!むかつきますね!」って言われるやつだね…

これ別に旦那さんも悪くないですからね。
お仕事ですので……(断れたかもしれないけど)
リサもその辺一応わかってるけど腹立つのは腹立つので、せめて飲みながら作るんですね…。

旦那さんの信号をうけて宗介が「リサ、ごめんだって」と声をかけてもちょっと無視してしまうのもわかる。
宗介は悪くないんですよ。
ただ旦那に怒ってるしむしゃくしゃするし、うーってなってるから返事したくない。宗介が親の空気を読んでることもわかってますが、今宗介のフォローできる状態じやないんですね。宗介にひどい言葉が出てしまいそうなくらい荒れてるので沈黙してる。外食したら楽だったのに〜とか。
宗介に対してちょっと甘えも入ってますね多分。
そんで子供に「大好きだよ」って言われて気分を切り替えるのもわかる……ってしょんぼりしちゃう。
「あ〜〜言わせちゃったな〜〜」って思ってるよこれ絶対…って…。

宮崎駿はお母さんをしたことがあるんですか?

自分の不機嫌をうまくコントロールできなくて、子供に空気読ませてしまった……って落ち込むことあるじゃん…あるんだよ……あるんです……ごめんなさい……
で、そういうとき反省は心のなかでするとしてぱっと明るくして「元気でたよ!ありがとう!」って子供にいうのもめっちゃわかるの………
もしかしたら素直に落ち込んでるとか機嫌が悪いとか伝えた方がいいのかもしれんけど、不安がってるなってなんとなくわかるからとにかく反省は後回しにして気分を切り替えないと…っていう…
子供にごめんと謝りながら毎日を過ごすっていう……あれだよ……

わかる……………

少女のポニョがでてきたあたりから、下の子の世話に回ってしまってそれ以降は流し見もできなくなってしまった。
でももう最初の方のリサの行動やら台詞やらが逐一「わかる〜〜」って心のなかでいいねボタンを押しまくっていた。
母親の解像度が高すぎて凄いな。

リサも毎日育児してる……私も頑張ろう……。

余談ですがポニョは水の表現が全部違うのが好き。
水道の水、港の水の色、深いとこの海水、ポニョの走る波、クラゲのうかぶ水面に近い場所の光。
オープニングの壁画みたいな映像も、流れや色の違いが層になっていて、壁画みたいなのに奥行きを感じるところがすんげえなって毎度見てしまいます。
あの動く壁画みたいなやつ、ナウシカとかラピュタを思い出してジブリだな〜ってかんじで良いですよね。


明日からも子供と毎日が始まる。
リサのように「ちこくしちゃうよー」から一日のどたばたが始まるのだ。
陣痛の痛みは忘れても、朝の手順を忘れるなよ、私の脳みそ!